ポケモンSVのランクバトル・シーズン15ダブル(レギュレーションF)にて、レート2001、最終54位の成績を収めることができました。
pokerikadaiOB鯖の有志によって開発された構築を使用しての達成となりました。他人が考えた構築ですが、「結果を残したのだから記事を書け」と言われたので、筆を執らせていただきます。
ポケモンSVでの対戦は1年ぶりで、新しいポケモンのタイプや新技の効果を調べながらプレイしたり、ウーラオスの一撃・連撃の構え方の違いを毎試合確認したりしました。初心者に毛が生えたレベルのプレイヤーである私が1週間でレート2001を達成できた構築なので、自信をもって強いとおすすめできます。
ちなみに、私が最後にSVをプレイした1年前、SVシーズン2頃のpokerikadaiOB鯖は、トロピウスの使用率を150位圏外→85位に上げたりしていました。
我々pokerikadaiOB鯖はAaron “Cybertron” Zheng氏が未だにトロピウスを動画にしていないことを許していません。
構築
コンセプト
おいかぜあまごい化身トルネロス+パワフルハーブエレクトロビームブリジュラスの先発からスタートしました。1ターン目おいかぜエレクトロビーム、2ターン目あまごいエレクトロビームと動かすことで、放置不可能な高火力を押し付けることができる強烈な並びです。
後発として、おいかぜがあると仮定したとき最強のポケモンであるアノホラグサ、雨が降っていると仮定したとき最強のポケモンであるハギギシリを採用しました。また全体技エースが不足していたため、化身ラブトロスを採用しました。
最後に、どうあがいてもトリックルームパーティには勝てないため、ピンポメタとしてふういんハバタクカミを採用して完成しました。
アノホラグサおよびハギギシリについては、皆様の知らないポケモンすぎて説明が必要だと存じますので、以下に単体考察を記します。
アノホラグサについて
基礎スペック
- タイプ: くさ/ゴースト
- 特性: かぜのり/すりぬけ
- 種族値: 55-115-70-80-70-90
アノホラグサの強み
特性「かぜのり」の効果は以下です。
- 味方の場がおいかぜ状態になった時、またはおいかぜ状態の場に出た時、こうげきが1段階上がる
- 風技を受けると技を無効化し、こうげきが1段階上がる
前者の条件は、いたずらごころおいかぜ要員を搭載したこのパーティにおいては常に満たしているも同然です。事実上常にこうげきが1段階上がっているようなもので、このポケモンの実質的な種族値は55-198-70-80-70-90です。
このような強力な特性を持つポケモンは技威力が抑えられがちですが、アノホラグサはポルターガイストというタイプ一致威力110技を覚えます。ゴースト技は耐性を用意しにくく、まず受かりません。
ちなみに、ポルターガイストはDLC碧の仮面での追加要素です。それまではゴーストダイブしか覚えませんでした。碧の仮面で最も強化されたポケモンではないでしょうか?
強すぎる特性と高すぎる火力に敬意を表して、pokerikadaiOB鯖では「ザシアン」と呼ばれています。
その他の強みは以下の通りです。
- すばやさ種族値が90あり、おいかぜ下でこだいかっせいハバタクカミを抜くことができる
- おいかぜを凌ぐためのこごえるかぜが効かない。効かないどころかこうげきが上がる。いい風だな…
- こがらしあらし、こごえるかぜしか攻撃技がないことも多い化身トルネロスを完封
- モロバレルに対して、キノコのほうしいかりのこな無効、かふんだんご等倍で非常に強い
- かぜのりは別においかぜが止んだとしてもこうげきが下がらない。もう一度おいかぜすればさらにこうげき上昇(通称:2週目)
- おいかぜが切れた後も先制技のかげうちが打てるため、詰め性能が高い
ハギギシリについて
基礎スペック
- タイプ: みず/エスパー
- 特性: ビビッドボディ/がんじょうあご/ミラクルスキン
- 種族値: 68-105-70-70-70-92
ハギギシリの強み
トルネロスのあまごいは、ブリジュラスのエレクトロビームを溜めなしで発射可能にする技として採用されますが、折角なので水技の威力を1.5倍にする効果も活かしたいところです。
だからといって、水ウーラオスやイダイトウなどを採用すると、タケルライコのじんらい・ゴリランダーのグラススライダー等の高威力先制技に縛られてしまい、結局活躍できないことが多いです。
そこで登場するのがハギギシリです。ビビッドボディは自分と味方が相手の先制技を受けなくなる特性です。これは先制技が多用される環境に非常にマッチしています。
初登場のSMでは技威力に恵まれなかったハギギシリですが、SVでは新技「ウェーブタックル」を習得し、その火力不足が解消されました。タイプ一致で威力120のこの技は、雨やテラスタルがなくても十分なダメージを期待できます。ガブリアスのげきりんよりちょっと弱い程度の打点をみずタイプという一貫しがちな属性で打てるわけですから、なかなかやりおるのではないでしょうか。もちろん、雨やテラスタルを活用した場合は多くのポケモンを一撃で沈める力を持っています。
もちろんですが、ブリジュラスやアノホラグサが先制技で縛られているときに、ハギギシリを交代で出すのも強い動きです。4次元の方角からねこだましやしんそくを無効化してくれるので、かなり相手を困らせることができます。
これほどまでに先制技に強い雨エースはハギギシリくらいしかいません。水技対策やおいかぜ対策を先制技に依存している構築には非常に刺さります。ハギギシリ、あなたのパーティにも採用いかがでしょうか。
個体紹介
化身トルネロス@ジャポのみ テラスタル:はがね
- 特性: いたずらごころ
- 実数値: 186-*-104-146-106-158
(最速アノホラグサ+2、残り耐久) - わざ: こがらしあらし/こごえるかぜ/おいかぜ/あまごい
構築の始点です。
いたずらごころ+おいかぜ+あまごいの組み合わせのポケモンの中で最も単体性能が高いです。
他のいたずらごころおいかぜ使いと比較すると、エルフーンはあまごいを覚えません。バルビート、イルミーゼは自分のアノホラグサより遅いため、「おいかぜ→かぜのりでこうげき上昇→かげうち」ができません。ヤミカラスは悪くないですが、あまごいを活用する意味では雨下で必中になるこがらしあらしを持つトルネロスのほうがより強いといえます。
持ち物はきあいのタスキパオジアンの処理ルートを少しでも増やすためのジャポのみです。ここはオボンのみ・きあいのタスキ・おんみつマント等も候補に挙がっています。
アノホラグサ選出時はおいかぜさえ打てればOKくらいの考えで使い捨てます。
ハギギシリ選出時はトルネロスを2回動かしてあまごいを残したい場面が多いです。たとえばパオジアンのつららおとしなどで一撃で倒されそうな時は積極的にテラスタルを使うプレイングがありえます。
ブリジュラス@パワフルハーブ テラスタル:でんき
- 特性: がんじょう
- 実数値: 166-*-150-177-85-150
(おくびょうCS。最速サーフゴー+1) - わざ: エレクトロビーム/りゅうせいぐん/ラスターカノン/まもる
構築の始点です。
エレクトロビームは溜め技ですがパワフルハーブやあまごいを利用することで連射できます。テラスタル+1エレクトロビームは無振りサーフゴー程度であれば一撃で倒せます。テラスタル+2エレクトロビームはHP振りハバタクカミでさえも確定一発です。
空いた技スペースには何かと便利なまもると、タイプ一致技を2つ採用しています。もし雨が降ってなくても、エレクトロビーム→りゅうせいぐん、あるいはエレクトロビーム→ラスターカノンと攻撃するだけでも十分に強いです。本当は全体技としてバークアウトも欲しいところです。
とくぼう種族値が低すぎてほとんどの特殊技を耐えません。よって特性はがんじょうにするべきでしょう。HP1のブリジュラスを先制技で仕留めようとする相手に、ハギギシリを交代出しする時が一番楽しいです。すじかねいりにすることで、このゆびとまれ+トリックルームのような構築を粉砕でき、これはこれで強かったのですが、今回は指トリルの対策はハバタクカミに一任しています。
アノホラグサ@いのちのたま テラスタル:ゴースト
- 特性: かぜのり
- 実数値: 131-167-90-*-90-156
(ようきAS) - わざ: ポルターガイスト/パワーウィップ/かげうち/まもる
ザシアンです。
ポルターガイストは道具を持たない相手に失敗します。エナジーブースト持ちには気を付けましょう(0敗)。
パワーウィップは命中不安ですが、当てた時のリターンが高すぎるため採用しています。リキキリンに撃つ時、いろんな意味で緊張します。
かげうちは先制技として撃つ以外に、唯一の命中安定技としても重宝します。
まもるは何かと便利なので入れていますが、どうせあんこくきょうだに貫通されるので、もはやタネばくだんやタネマシンガン、テラバースト等で良い説はあります。
瞬間火力重視で、こだわりハチマキを除いて最も倍率の高い強化アイテムであるいのちのたまを持たせています。
やる気がある人は個体値を下げてHP実数値129調整をしてもいいと思います(10n-1おじさん)。ただ、アノホラグサがいのちのたまのダメージを2回以上受けるほどに攻撃できている試合は大体勝ち試合で10n-1調整が活きる場面は来ないと考えており、個体値31で妥協しています。
テラスタルはポルターガイストの火力を上げるためのゴーストです。A+1テラスタルポルターガイストは、HP振りタケルライコ程度であれば一撃で仕留めることができる爽快火力です。ただし、いかりのこなの影響を受けるようになるため、特に対モロバレルでは気を付けてください。
ハギギシリ@こだわりスカーフ テラスタル:みず
- 特性: ビビッドボディ
- 実数値: 144-172-90-81-90-144
(いじっぱりAS) - わざ: ウェーブタックル/サイコファング/こごえるかぜ/クイックターン
先制技に耐性のある高火力雨エースです。
おいかぜが切れた後の制圧力を意識してこだわりスカーフを持たせています。
ウェーブタックル以外の技はほとんど押しません。一致技のサイコファング、全体技かつ素早さ操作技できあいのタスキ持ちの処理に重宝するこごえるかぜ、ハギギシリを大切にしたい場面で打つクイックターン、何かと便利な先制技のアクアジェットからの選択になるでしょう。
努力値の残り4をHPに振った結果、実数値が16nになっています。メインウェポンが反動技ゆえにHPは高いほうが良いこと、またゴリランダー入りに対して積極的に選出しがちということもあり、許されています。
化身ラブトロス@こだわりメガネ テラスタル:フェアリー
- 特性: あまのじゃく
- 実数値: 150-*-101-180-101-169
(最速化身ランドロス+1、特化水ウーラオスのすいりゅうれんだ耐え、残りとくこう) - わざ: マジカルシャイン/ムーンフォース/だいちのちから/はるのあらし
はるのあらしが雨下で必中になるという勘違いで採用されたポケモンです。
フェアリー高火力全体技エースです。
ハバタクカミも採用しているパーティですが、ハバタクカミは強いので何体採用してもよい、というルールのもと、実質ハバタクカミである化身ラブトロスも採用しています。
フェアリー高火力全体技エースとして、化身ラブトロスは以下のような点ではハバタクカミよりも優れています。相互互換くらいの性能はありますね。
- あまのじゃくでバークアウト、エレキネット、こごえるかぜ、すてゼリフ等に耐性あり
- 強力な先制技であるふいうちやグラススライダーを半減
- ブリジュラスに飛んでくるじめん技に繰り出せる
- 優秀なサブウェポンとしてだいちのちからを覚える。対ヒードランや対どく、はがね、ほのおテラス等が楽
- ハバタクカミと同時に採用できる
フェアリータイプを受けるためにはがね・ほのお・どくテラスを切ると、ハギギシリのみず技やアノホラグサのゴースト技が一貫しやすくなります。
先発ハバタクカミ・後発化身ラブトロスと選出した場合は、役割集中フェアリーとしてマジカルシャインでゴリ押してもよし、はがね・ほのお・どくテラスを切った相手にだいちのちからを押してもよし。…というふうに、パーティ全体との攻撃面の相性が良いです。
技はマジカルシャインムーンフォースだいちのちからの3つだけで完結しており、ラスト1枠は要検討枠となっています。
現状はるのあらしを採用していますが、マジカルシャインで足りているため一度も撃ったことがありません。他の技も欲しいと思うことがなかったため、操作ミスで間違って押すことを防ぐために、技3つに抑えるのが最適解の可能性すらあります。しいて言えば、はたきおとすを受けた際に役に立つまもるや、浮いているどくテラスに撃つかもしれないサイコキネシスでしょうか?
ハバタクカミ@ブーストエナジー テラスタル:あく
- 特性: こだいかっせい
- 実数値: 145-*-105-190-156-157
(最速アノホラグサ+1、特化水ウーラオスのすいりゅうれんだ耐え、残りとくこう) - わざ: マジカルシャイン/ふういん/トリックルーム/まもる
トリックルームパーティに勝つためのポケモンです。
ちょうはつハバタクカミ等でもよさそうですが、イエッサン軸のトリックルームパーティはこのゆびとまれによってちょうはつが効かないため、ふういん型がベストだと思われます。
イエッサン軸に出す都合上、突然てだすけワイドフォース等を受けて死んだりしないよう、あくテラスタルです。
あくテラスタルを切るとフェアリー技が弱点になりますが、最も主要なフェアリー技のマジカルシャインはふういんできるため、そういう意味でも便利です。ごくまれにマッチングするブリムオンを封殺することがありました(フェアリータイプだがムーンフォースを覚えずメインウェポンがマジカルシャインのため、ふういんされると何もできなくなる)。
選出・立ち回り
基本選出
- 先発: 化身トルネロス+ブリジュラス
- 後発: アノホラグサハギギシリ化身ラブトロスから2体
後発の選出基準は以下の通りです。
- ゴーストの通りが良い→アノホラグサ
- ザシアンしたい→アノホラグサ
- モロバレルがいる→アノホラグサ
- おいかぜが切れた後、かげうちが必要そう→アノホラグサ
- 先制技持ちが多い、特にタケルライコ入り→ハギギシリ
- おいかぜが切れた後、スカーフハギギシリのすばやさが必要そう→ハギギシリ
- みずの通りが良い→ハギギシリ
- フェアリーの通りが良い→化身ラブトロス
- きあいのタスキに苦しみそうで、全体技の削りが欲しい→化身ラブトロス
基本的に化身トルネロスでおいかぜ、ブリジュラスでエレクトロビームから入ります。
原則として交代はせず殴り続けます。アノホラグサ(風技無効)・ハギギシリ(先制技無効)・化身ラブトロス(じめん技無効、デバフ耐性)のいずれも繰り出せそうな場面がそこそこあるので、1試合に1~2回くらいは交代をする場面があるかもしれません。
4体倒される前に4体削りきるという対面構築的な動きをするので、相手ポケモンを倒す順番だけミスらないようにしましょう。
対トリル
- 先発: ハバタクカミ+ブリジュラスor化身トルネロス
- 後発: 適当に2体
後発として雑に強いのは化身ラブトロスとハギギシリです。コータス入りにはあまごい化身トルネロスを出すなど、雰囲気で臨機応変に対応してください。
ふういんハバタクカミでトリルを阻止し、ハバタクカミが倒される前に殴りきって試合を終わらせます。
このパーティの強み
- 基本選出が強い。初手がほぼ固定かつ後発の選出基準が明確なこともあり、このゲームで最もムズいポイントである選出が簡単
- ブリジュラスとアノホラグサの火力が高い。ほとんどの相手はこの攻撃力が受かっていないため、技を外さなければ勝てる
- 多少のプレミは運がなんとかしてくれる(このパーティにおけるプレイングミスは8割くらい「ここ技外すと負けるのでりゅうせいぐんよりラスターカノンなのでは?」だったりするので、結局技を当てればモーマンタイ)
- ↑allのおかげで再現性が高い。pokerikadaiOB鯖の普段対戦を一切やらないプレイヤーが回しても、勝率7割あった。ダブルバトル初心者にもおすすめできる
- 一試合が極端に短い。基本的に1試合10分、4ターンで決着が付く。短期間でレートを盛ることができる
このパーティの弱み
- 相手はこのパーティの攻撃範囲が受かっていないと書いたものの、自分も相手の技は一切受からない
- 技を外さなければ勝てると書いたものの、命中不安技だらけで心臓に悪い
- このため、技を2回外すとどんな相手にも負ける。ただ、逆に言えば技を当て続けるぶんにはあんまり負けないという強みでもある。対モンスターボール級と対マスターボール級で勝率が一切変わらないのはある意味すごいこと
- 一部の、このパーティの攻撃力が受かっている相手への相性が極端に悪い。「いわなだれで怯ませれば運勝ちできる」のような上振れ要素もないため、1:9レベルの不利が付くと思う
- マタドガスのかがくへんかガスでほぼ全員機能停止
総括
見た目の珍妙さに反して扱いやすい構築でした。
瞬間2桁や瞬間1ページは何度か経験があるものの、最終2桁順位を踏むことができたのは人生で初めてで、素直にうれしいです。私が生み出した謎ポケモンの多くは、私以外のプレイヤーが結果を出したことで有名になっていました(例:剣盾の混乱実イワーク・メロメロドラパルト、SVのトロピウス等)。今回は逆に他人が生み出した謎ポケモンで私自身が結果を出すことができたので、その意味でも良い記念になりました。
pokerikadaiOB鯖のみんな、特に構築開発の中心となった村中先生と、化身2種の個体をくれたウラン君。ありがとうございました。
最後になりますが、村中先生の名言を残して記事の〆とさせていただきます。
- ポケモンは特性 > 技威力 > タイプ >> 種族値
- (アノホラグサ→悪ウーラオスにしてはどうか?と聞かれ)ウーラオスは常に80点取れるが、アノホラグサは1割で0点か9割で100点。我が村中ドラゴンズに必要なのは100点取れるホームランバッター